太陽光発電パネルの発電効率と知っておくべきポイント
家庭や会社でも導入が増加しつつある太陽光発電。その時に気になるのが「交換効率」かもしれません。この交換効率は発電量を左右する重要な役割であり、太陽光発電ではこの交換効率の向上が課題とされています。導入の際には、初期費用や日射量・屋根の角度・劣化率なども含めて考慮し、複数の見積もりを算出することが大切だと言えます。そこで今回は「太陽光発電パネルの発電効率と知っておくべきポイント」についてご紹介いたします。
■ソーラーパネルの主流は「結晶シリコン系」
ソーラーパネルと一口に言っても、実にさまざまなものがあります。ただ、その中でも「結晶シリコン系太陽電池」が世界市場の90%以上を占めています。私たちが目にするパネルのほとんどが、この結晶シリコン系というわけです。現在、このタイプで世界最高性能を達成しているのは日本企業で、セル単位での変換効率は26.6%、モジュール単位での変換効率は24.4%だとされています。だいたい25%が最もソーラーパネルにおいて、変換効率が高いと覚えておきましょう。
■単結晶と多結晶の変換効率の違いはどれくらい?
ソーラーパネルの種類で普及率がもっとも高いものが「シリコン系太陽電池」です。この種類には、セルが1つの結晶でできている「単結晶」と複数の結晶でできている「多結晶」の2種類があり、単結晶では15%~20%前後、多結晶では12%~17%程度の交換効率となります。
・モジュール交換効率の計算式
パネル公称最大出力(W)÷{パネル面積(㎡)×1000(W/㎡)}×100(%)
「1000」という数値は太陽光エネルギーの国際規格の条件です。
・セル交換効率の計算式
パネル公称最大出力(W)÷{1セル全面積(㎡)×1パネルのセル数×1000}×100(%)
セル交換効率では、パネルのフレーム部分などを含む面積に関わらず、発電部分である「太陽電池セルの効率のみ」を算出するため、モジュール交換効率よりも高い数値が出るとされます。
■環境による発電効率の変化
ソーラーパネルは、たいてい日当たりのよい場所に設置されます。一般的に太陽光発電の設備は、気温が上がるほど発電効率が悪くなる特性があります。そのため、国際基準で定められたカタログ性能である「気温25度環境下で計測した発電効率」は、それ以上の気温下では下回る可能性があります。夏場が最も発電量が多いと思っている人が多いのですが、実は5月くらいがピークなのです。また、海沿いの地域などで起こりやすい「塩害」や、寒い地域でのモジュールへの雪積は、発電を妨げるケースも。台風や落雷による故障やシステムトラブルも、すぐに解消しなければ発電できない時間が長くなります。このように環境的影響を大きく受けるため、設置場所には気を付ける必要があるのです。
■ソーラーパネルの劣化と寿命について
どうしてもソーラーパネルには劣化と寿命の問題がつきまといます。一般社団法人太陽光発電協会によれば、屋根などに設置するモジュールの場合、1年に0.27%の割合で経年劣化が想定されています。また太陽光発電に欠かせないパワーコンディショナーも、発売されてから約10年で、性能が急激に低下するといわれています。国は、太陽光発電設備の法定耐用年数を17年と定めており、メーカー側の出力保証は、約20年から30年と言われています。作り出した電力を売却するためには、10年間設備が適切に動作することが条件になるというわけです。
おわりに
太陽光発電システムは、実はとてもデリケートな設備です。ただ、モジュールそのものについては、メーカーが出力保証に応じてくれます。対象になる劣化率と期間は、メーカーによって異なるので、導入に際してその「保証内容」まで、細かく確かめておきましょう。また、設置のための土台や固定装置・施工品質も、モジュールの劣化や発電効率に大きく作用します。そこは施工業者の経験と技術に頼るしかありません。
私たちリアルヴィジョンは、モジュールの性能を十分に引き出せるように従業員全員がエネルギーマネジメントアドバイザーを取得し、正しい見積もりと確かな技術で施工させていただいております。
(脇田尚揮/太陽光発電アドバイザー)(株式会社リアルヴィジョン)
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